TCFD・TNFD提言に基づく開示

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ガバナンス

サステナビリティ経営体制 気候 自然

サステナビリティ方針と重点課題

当社グループでは、「サステナビリティ方針」を制定し、気候変動や生物多様性・自然資本をはじめとするサステナビリティへの取組みを、重要な経営課題と認識しています。また、「十六フィナンシャルグループSDGs宣言」では、「地域経済の活性化」「地域社会の持続的発展」「環境保全と気候変動対策」「多様な人材の活躍推進」「ガバナンスの高度化」を重点課題としています。

図:サステナビリティ経営体制

経営者の役割と取締役会による監督

これらの重点課題に適切に対応するため、取締役社長を議長とし、グループ経営会議の構成員、統括部長、サステナビリティ統括室長等により構成される「サステナビリティ会議」を設置しています。同会議は、原則として3か月に1回以上開催し、気候変動や生物多様性・自然資本を含むサステナビリティに関する取組方針の策定、目標の設定および取組状況の確認といった重要事項について審議しており、その結果を経営戦略やリスク管理に反映しています。また、同会議における審議事項については、取締役会へ3か月に1回以上定期的に報告し、適切に監督される体制を整備しています。

サステナビリティ推進体制

サステナビリティ会議の下部組織として、「サステナブルビジネス」「環境活動」「D&I」「気候変動・生物多様性」を所管する4つのワーキンググループを設置しています。各ワーキンググループは、担当常務役員を含む、グループ各社の組織横断的なメンバーで構成されており、原則として毎月1回以上開催し、それぞれが所管する事項について審議した結果を、サステナビリティ統括室に報告しています。

人権尊重への取組み

すべての役職員、お客さま、サプライヤー等のステークホルダーの人権を尊重することを「人権方針」に定めています。また、人権侵害への関与が認められる企業に対する投融資等を行わないことを「持続可能な社会の形成に向けた投融資方針」にて定めています。

戦略

機会とリスク 気候 自然

当社グループでは、「短期」「中期」「長期」の時間軸を設定し、気候変動や生物多様性・自然資本に関するリスクと機会を分析しています。また、複数のリスクが顕在化し複合することにより、金融システム全体の不安定化につながるシステミックリスクについても認識しています。シナリオ分析結果等を活用し、お客さまとのエンゲージメントの実施や、グリーンファイナンス、サステナブルファイナンス、トランジションファイナンス等の金融支援により、事業機会の創出やリスク低減につなげていきます。

表
  • 「短期」:5年程度、「中期」:10年程度、「長期」:30年程度

ビジネス機会への対応 気候 自然

脱炭素・ネイチャーポジティブ経済への移行に伴い、お客さまの資金需要の拡大や事業再編、新たな金融商品・サービスの需要増加が見込まれ、当社グループにとってはビジネス機会が増えています。当社グループは、金融・非金融機能を活用した様々なファイナンスやソリューションの提供に積極的に取り組み、お客さまの課題解決に努めます。

環境課題解決へのファイナンス

お客さまの脱炭素経営や環境配慮への取組みに向けた資金調達に対応するため、各種ファイナンス商品を提供しています。

グリーンローン ・ グリーン私募債
再生可能エネルギー発電設備の導入や省エネ性能の高い機器への切替えなど、資金使途を環境課題の解決に資する資金に限定した融資商品です。外部機関からセカンドオピニオンを取得するスキームにより、社会や利害関係者に向けて、自社の環境への取組姿勢を発信することができます。
サステナビリティ・リンク・ローン
SDGs・ESGに関する事業挑戦目標であるサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)を設定し、その達成度合いに応じて金利などの貸出条件を優遇する融資商品です。お客さまのSDGs・ESGに関する取組みを対外的に発信することで、社会的な支持の獲得につながります。
ポジティブインパクトファイナンス
企業活動が、環境・社会・経済のいずれかの側面に与える影響を包括的に分析・評価し、ポジティブなインパクトの創出とネガティブなインパクトの低減に資するKPIを設定する融資商品です。
KPI達成状況のモニタリングを通じて、お客さまの取組みを継続的に支援します。

地域企業の脱炭素化支援

お客さまの脱炭素経営を支援するため、各種コンサルティングサービスを順次開発し、ラインナップを充実させています。
GHG排出量の可視化、削減目標の設定を実施する脱炭素コンサルティングは、2021年8月の取扱開始以降、352社に提供しています。また、そのうち6割以上の企業が当社グループのサポートにより、中小企業版SBTの認定を取得しています。

取扱開始 サービス内容 取扱件数 (件)
2021
年度
2022
年度
2023
年度
2024
年度
合計
2021年8月 脱炭素コンサルティング 【GHG排出量算定、削減目標設定】 47 91 79 135 352
2021年8月 中小企業版SBT認定取得支援 【パリ協定に整合した削減目標設定】 2 43 109 76 230
2023年2月 脱炭素経営移行計画レビュー 【移行計画策定・進捗レビュー】 4 3 7
2023年8月 温室効果ガス排出量マネジメントシステム 【GHG排出量算定システム】 161 125 286
2024年3月 カーボン・オフセット認証取得支援 【オフセット対象製品の認証取得】 6 6

リスクの事例 気候 自然

当社グループは、気候変動や生物多様性・自然資本に関するリスクを4つのカテゴリーに整理しています。気候変動や生物多様性・自然資本から生じる物理的リスクおよび移行リスクについては、以下のような事例が想定されます。

リスクカテゴリー 定義 物理的リスクの事例 移行リスクの事例
時間軸 時間軸
信用リスク お客さまの財務状況の悪化等により、オフ・バランス資産を含めた資産の価値が減少ないし消失し損失を被るリスク 大規模な自然災害(洪水、干ばつ、森林火災など)の発生に伴うお客さまの業績悪化、担保価値の毀損による貸出資産価値の低下 短期~長期 気候変動や生物多様性・自然資本に関する規制強化、低炭素技術への投資失敗、消費者行動の変化などに伴うお客さまの業績悪化による貸出資産価値の低下 中期~長期
市場リスク 金利、為替および株式等の様々な市場のリスク・ファクターの変動により、資産および負債(オフ・バランスを含む)の価値が変動し損失を被るリスクならびに資産および負債から生み出される収益が変動し損失を被るリスク 大規模な自然災害(洪水、干ばつ、森林火災など)の発生に伴う投資先の業績悪化による保有有価証券価格の下落 短期~長期 気候変動や生物多様性・自然資本に関する規制強化、低炭素技術への投資失敗、消費者行動の変化などに伴う投資先の業績悪化による保有有価証券価格の下落 短期~長期
流動性リスク 運用と調達の期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出により、必要な資金確保が困難になる、または通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク、市場の混乱等により市場において取引ができなかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスク 大規模な自然災害(洪水、干ばつ、森林火災など)で被災したお客さまの資金需要発生による預金流出 短期~長期 気候変動や自然災害リスクへの対応の遅れに伴う当社グループの信用悪化による資金調達環境悪化および預金流出 短期~長期
オペレーショナル
・リスク
業務の過程、役職員等の活動もしくはシステムが不適切であること、または外生的な事象により損失を被るリスク 当社グループ拠点や役職員の被災に伴う業務の中断 短期~長期 気候変動や生物多様性・自然資本への不適切な対応等に伴う罰金、訴訟による損失 短期~長期

シナリオ分析 気候

気候変動に関するリスクが当社グループに及ぼす影響を把握するため、「物理的リスク」「移行リスク」についてシナリオ分析を実施しています。

物理的リスク

雨が多い日本では、毎年大雨による河川の氾濫などにより、水害が発生しています。また、近年は、局地的に短時間で激しい雨が降るゲリラ豪雨が増加傾向にあり、当社グループの営業エリアにおいても大きな被害が発生しています。
物理的リスクでは、気候変動による大規模洪水の発生頻度の上昇を想定し、「RCP8.5シナリオ (4℃シナリオ)」を前提に、岐阜県・愛知県内において、気候変動に起因する大規模水害が発生した場合の与信関係費用への影響を試算したところ、約66億円の増加が見込まれるという結果となりました。

移行リスク

与信エクスポージャーが大きいセクターやTCFD提言が定義する炭素関連セクター等を対象に定性的な分析を行った結果、当社グループにおいて移行リスクの影響が大きいセクターとして「電力セクター」「自動車セクター」を選定しました。
移行リスクでは、「RCP2.6シナリオ (2℃シナリオ)」、「NZEシナリオ (1.5℃シナリオ)」を前提に、炭素税の導入など脱炭素社会への移行に伴う費用増加や売上高減少、市場の将来動向などを勘案のうえ、与信関係費用への影響を試算したところ、約22億円の増加が見込まれるという結果となりました。

物理的リスク 移行リスク
シナリオ IPCC/RCP8.5シナリオ (4℃シナリオ) IPCC/RCP2.6シナリオ (2℃シナリオ)
IEA/NZEシナリオ (1.5℃シナリオ)
リスク事象 大規模水害 脱炭素社会への移行
分析対象 岐阜県・愛知県内の貸出先
岐阜県・愛知県内の不動産(建物)担保(保証付住宅ローンは除く)
電力セクター
自動車セクター
分析内容 お客さまの事業停止・停滞に伴う業績悪化
当社グループの不動産 (建物) 担保の毀損
お客さまの費用増加や売上高減少に伴う業績悪化
分析期間 2050年まで 2050年まで
分析結果 与信関係費用増加額 最大約66億円 与信関係費用増加額 累計約22億円
  • IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change) : 気候変動に関する政府間パネル
  • IEA (International Energy Agency) : 国際エネルギー機関

分析結果は、一定の前提条件のもとに試算しています。今回の分析範囲においては、当社グループの財務への影響は限定的なものとなりましたが、引き続きシナリオ分析の高度化に努めていきます。

炭素関連資産 気候

TCFD提言が開示を推奨する炭素関連資産について、セクターごとの貸出残高および全セクターに占める割合は以下のとおりです。

貸出残高に占める炭素関連資産の割合(2025年3月末)

セクター 貸出残高(百万円) 割合
エネルギー 石油・ガス 28,511 0.6%
電力・ユーティリティ 46,633 0.9%
運輸 空運 3,748 0.1%
海運 78 0.0%
陸運 84,887 1.7%
自動車 71,739 1.4%
素材・建築物 金属・鉱業 40,455 0.8%
化学 74,102 1.5%
建築資材・資本財 440,573 8.6%
不動産管理・開発 409,403 8.0%
農業・食料・林産物 飲料・食品 51,278 1.0%
農業 4,526 0.1%
製紙・林業 24,491 0.5%
合計 1,280,424 25.1%
  • 貸出残高=貸出金、外国為替、支払承諾等の合計
  • 電力・ユーティリティセクターは、水道事業、再生可能エネルギー発電事業を除く

依存と影響 自然

当社グループの事業活動と自然資本との関係について把握するため、投融資を通じた自然資本への依存と影響について分析しました。具体的には、自然関連のリスク分析ツールであるENCORE(※)を活用し、十六銀行と融資取引のある法人取引先について、セクターごとに自然資本への依存と影響のヒートマップを作成しました。そのなかで、リスクスコアが高く、融資額が一定以上のセクターについて、以下のとおり整理しました。

自然資本への依存

自然資本への依存

自然資本への影響

自然資本への依存

  • ENCORE:Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure
    企業の自然資本への依存や影響の大きさを把握するツール。
    自然資本金融同盟(NCFA)、国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)などが共同で開発。

その結果、自然資本への依存においては、供給サービスの「水供給」、調整・保守サービスの「水流調整」「洪水緩和」「暴風雨緩和」「土壌・土砂貯留」などに依存しているセクターが多いことがわかりました。また、自然資本への影響については、「水使用量」「水・土壌への汚染物質の排出」 「GHGの排出」 などの影響が大きいことがわかりました。
今後は、自然資本への依存と影響の分析についてさらなる高度化を進め、自然関連のリスクと機会の特定に向けて取り組んでまいります。

当社の事業活動と自然との接点 自然

TNFD提言に推奨されているLEAPアプローチに沿って、当社グループの融資ポートフォリオにおいて優先的に取り組むセクターを抽出し、セクターごとに分析を進めました。そのなかで、自然資本への依存と影響の度合い、融資額、エンゲージメントの状況等をふまえて、特に優先的に取り組むセクターとして「食品セクター」を特定し、以下のとおり分析しました。

食品セクター

依存と影響 食品製造拠点等の加工過程において水資源を利用しており、「水供給」「水質浄化」「水流調整」など水に関する生態系サービスに大きく依存しています。また、「水使用量」「水・土壌への有害汚染物質の排出」について自然資本への影響が大きくなっています。さらに、農地拡大や製造拠点の建設による「土地利用域」への影響も考えられます。
リスクと機会 製造拠点の取水制限や地下水採取に対する規制や課税などによる「政策・法律リスク」や、環境負荷の高い製品の不買運動などの「評判リスク」に関する事例が確認されています。一方で、環境に配慮した製品ラインナップへの切換えにより、ビジネス機会の獲得につながる可能性があります。

融資先の製造拠点の分析

食品セクターの融資先の製造拠点を抽出し、「水利用」「排水」「土地利用」に関するリスクを、評価ツールを用いて分析しました。

融資先の製造拠点の分析:図

当社の営業拠点と自然との接点 自然

当社グループの営業拠点と自然資本との関係について把握するため、主要営業地域である東海地区において、十六銀行の営業拠点と生物多様性の重要性が高い地域との接点を調査しました。その結果、同地域内に位置する拠点はなかったものの、一部の拠点が同地域の直径20㎞圏内に立地することが確認されました。一方で、営業拠点がオフィスであるため、生物多様性に与える影響は限定的であると考えられます。

十六銀行の営業拠点と生物多様性重要地域

十六銀行の営業拠点と生物多様性重要地域:図

環境保全への取組み 気候 自然

当社グループは、豊かな自然に恵まれた岐阜県、愛知県を主要な営業基盤としています。自然環境の保護や生態系の保全のため、森林保全活動や廃棄物削減、リサイクルなどに取り組み、自然と共生する社会の実現を目指します。

じゅうろくの森“みたけ”森林保全活動

岐阜県が推進する「企業との協働による森林づくり」の一環で、岐阜県および御嵩町との間で森林づくり協定を締結しています。
社内で有志を募り、定期的に森林整備活動を実施しているほか、新入社員研修の一環とすることで、早くから社員の環境保全活動に対する意識の醸成をはかっています。

場所可児郡御嵩町
面積6.71ha
活動森林整備、環境学習

長良川清掃活動

長良川は日本三大清流の1つであり、岐阜市の中心を流れる地域の大切な財産です。この長良川を守るため、地域の皆さまとともに、年2回清掃活動を実施しています。

紙資源のリサイクル

廃棄する文書について、古紙回収業者や製紙業者と連携し、クローズドリサイクルに取り組んでいます。廃棄した文書は100%リサイクルされ、段ボールや紙袋になり、当社グループで再利用しています。

資源循環モデルATMの導入

サーキュラーエコノミー(※)の実現に向けて、使用済ATMを回収・分解し、再利用できる部品を搭載した新しい「資源循環モデル」ATM を採用し、3店舗に配置しました。

  • 循環型経済。省資源で持続可能な製品を作り消費活動を行うなど、資源を有効活用し、環境破壊のリスクを低減させる経済形態のこと
設置店舗【岐阜県】 川島支店、美濃加茂支店
【愛知県】 東海支店

リスク管理(リスクと影響の管理)

リスクの特定・評価プロセス 気候 自然

当社グループでは、経営に重大な影響をもたらす可能性があるリスクをトップリスクと位置付けています。トップリスクについては、蓋然性および影響度の観点から、今後約1年以内に事業戦略に支障をきたし収益力を低下させるなど、財政状態、経営成績に重大な影響をもたらす可能性があるリスクを、取締役会にて選定します。2025年3月の取締役会においては、「気候変動に関するリスク」「自然災害リスク」を含む10のトップリスクを選定しています。異常気象・自然災害の増加や、気候変動対策における国際的機運の高まりをふまえて選定したものであり、これらのリスクへの対応の遅れ等による貸出先の業績悪化やビジネスモデルの陳腐化をリスクシナリオとした予兆管理やリスクコントロール策を講じています。

リスクの管理プロセス 気候 自然

当社グループでは、統合的リスク管理の枠組みを整備しており、グループ全体の金融リスクを「信用リスク」、「市場リスク」、「流動性リスク」、「オペレーショナル・リスク」に分類のうえ、管理しています。気候変動リスクや自然災害リスクについては、金融リスクのリスクドライバーであるとの考えのもと、信用リスクやオペレーショナル・リスクなどのリスク管理の枠組みで管理しています。 また、収益、リスク、資本を有機的に結合し、一体管理を通じて企業価値の向上を目指す観点から、リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)を導入しています。気候変動リスク、自然災害リスクについては、モニタリング指標を「サステナブルファイナンス年間実行額」と定め、持続可能な社会の実現に向けた取組みについて、適切な管理に努めています。

投融資方針の策定 気候 自然

当社グループでは、「持続可能な社会の形成に向けた投融資方針」を定めています。気候変動リスクの低減や生物多様性の保全など環境・社会的課題に向けポジティブな影響を及ぼす取組みへの投融資に積極的に取り組む一方で、重大なリスクまたはネガティブな影響を与える可能性のある投融資は禁止または慎重に対応することを定めています。また、気候変動、生物多様性・自然資本の損失、人権課題には相互関係があり、これらの課題に対して統合的に取組みを進めるべきであると認識しています。

基本方針

十六フィナンシャルグループ(当社および連結子会社により構成される企業グループをいう。)は、環境・社会的課題解決に向けた取組みを、投融資業務を通じて積極的に支援することにより、お客さまの中長期的な企業価値向上や持続的成長に寄与するよう努めます。
一方、環境・社会に対する重大なリスクまたは負の影響を与える可能性のある投融資については、慎重に判断することで、その影響を低減・回避するよう努めます。

1.環境・社会的課題解決に向けポジティブな影響を及ぼす投融資

環境・社会的課題解決に向けポジティブな影響を及ぼす、以下の投融資については積極的に取り組みます。

  1. 再生可能エネルギーや省エネルギーなど気候変動リスクの低減に資する取組み
  2. 水資源や森林資源の保護など生物多様性の保全に資する取組み
  3. 創業、イノベーション創出、事業承継など地域経済の持続的発展に資する取組み
  4. 高齢化、少子化等の課題に対応する医療、福祉、教育の充実に資する取組み

2.環境・社会に対する重大なリスクまたはネガティブな影響を与える可能性のある投融資

環境・社会に対する重大なリスクまたはネガティブな影響を与える可能性がある投融資については以下の方針とします。

  1. セクター横断的に禁止する投融資

    児童労働や強制労働、人身売買等の人権侵害への直接的または間接的な関与が認められる企業に対する投融資等は行いません。
    「ワシントン条約」に違反する事業、「ラムサール条約指定湿地」や「ユネスコ指定世界遺産」へ負の影響を与える事業に対する投融資等は行いません。

  2. 特定セクターに対する取組方針
    石炭火力発電 石炭火力発電は、他の発電方式と比べ温室効果ガスの排出量や有害物質の排出量が多いといわれており、気候変動や大気汚染等、環境に重大な負の影響を及ぼす可能性があります。
    石炭火力発電所の新設および既存発電設備の拡張を資金使途とする投融資等は行いません。ただし、災害時対応や日本政府のエネルギー政策に沿った案件等を例外的に検討する場合は、慎重に対応します。
    石炭採掘 石炭採掘事業に対する投融資等については、採掘現場の運営等が適切に管理されない場合、炭鉱事故による労働災害の発生や有害廃棄物による地域住民・社会、生態系へ負の影響を及ぼす可能性があることから、お客さまが行う環境・社会配慮に向けた対応状況等を確認し、地域経済や環境への影響を考慮したうえで慎重に対応します。
    石油・ガス採掘、
    石油・ガスパイプライン敷設
    石油・ガス採掘事業、石油・ガスパイプライン敷設に対する投融資等については、石油・ガス採掘、石油・ガスパイプライン敷設が、流出事故による海洋・河川の汚染、地域住民・社会、生態系へ負の影響を及ぼす可能性があることから、お客さまが行う環境・社会配慮に向けた対応状況等を確認し、地域経済や環境への影響を考慮したうえで慎重に対応します。
    大規模水力発電 新規の大規模水力発電事業(出力30MW以上かつダム壁の高さが15メートル以上)に対する投融資については、水力発電がダム建設に伴い生態系に負の影響を与える可能性があることや、住民移転が地域社会に負の影響を与える可能性があることから、お客さまが行う環境や社会配慮に向けた対応状況等を確認し、地域経済や環境への影響を考慮したうえで慎重に対応します。
    非人道的兵器製造 クラスター弾、対人地雷、生物・化学兵器の非人道性を踏まえ、資金使途にかかわらず、こうした兵器を製造する企業に対する投融資等は行いません。
    パーム油農園開発 パーム油が、日常生活に欠かせない製品に使用されている原料である一方で、パーム油農園の開発において、気候変動や地域住民・社会、生態系へ負の影響や、違法伐採や児童労働などの人権侵害がおこなわれている可能性があります。
    パーム油農園開発に対する投融資等については、お客さまが行う環境・社会配慮に向けた対応状況等を確認し、地域経済や環境への影響を考慮したうえで慎重に対応します。
    森林伐採 大規模な森林破壊は気候変動や地域住民・社会、生態系へ重大な負の影響を及ぼす可能性があります。
    大規模な森林伐採や違法な森林伐採、焼却が行われている事業に対して投融資等を行いません。また、森林伐採を伴う資金使途に対する投融資等については、地域経済や環境への影響を考慮したうえで慎重に対応します。

指標と目標

GHG排出量実績 気候

GHG排出量実績

(単位:t-CO2)
算定項目 2023年度 2024年度
(速報値)
Scope1 直接排出 1,347 1,301
Scope2 間接排出 6,153 1,685
Scope1,2の合計 7,500 2,986
Scope3
カテゴリ1 購入した製品・サービス 14,761 14,454
カテゴリ2 資本財 7,199 6,251
カテゴリ3 Scope1,2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動 1,467 1,338
カテゴリ4 輸送、配送(上流) 1,857 1,833
カテゴリ5 事業活動から出る廃棄物 50 74
カテゴリ6 出張 236 174
カテゴリ7 雇用者の通勤 2,940 2,441
カテゴリ8 リース資産(上流) - -
カテゴリ9 輸送、配送(下流) - -
カテゴリ10 販売した製品の加工 - -
カテゴリ11 販売した製品の使用 - -
カテゴリ12 販売した製品の廃棄 - -
カテゴリ13 リース資産(下流) 428 457
カテゴリ14 フランチャイズ - -
カテゴリ15 投融資 3,507,165 11,443,416
Scope3の合計 3,536,103 11,470,438

2023年度の実績は、数値の信頼性を確保するためScope1,2,3すべてにおいて独立した第三者の保証を取得しています。2024年度の実績は速報値であり、今後独立した第三者から保証を取得する予定です。
また、2024年度より、Scope3カテゴリ15の対象範囲を投融資先のScope1,2に加え、Scope3まで拡大しました。その内訳は、投融資先のGHG排出量(Scope3カテゴリ15)に記載しています。

当社グループのGHG排出量(Scope1,2)の削減目標と実績 気候

当社グループのエネルギー使用に伴って発生するGHG排出量(Scope1,2)について、2030年度までにカーボンニュートラルを達成することを目標とし、脱炭素社会の実現に向けて取り組みます。

Scope1,2の目標 2030年度までにカーボンニュートラル(ネットゼロ)を達成する。

当社グループのGHG排出量(Scope1,2)

グラフ:当社グループのGHG排出量(Scope1,2)

2024年度のGHG排出量は、2013年度比77.2%の削減となりました。 店舗照明のLED化や高性能な空調設備への更新などの省エネ施策を実施したほか、CO2フリー電気の導入を拡大し、再エネ比率の向上にも努めました。CO2フリー電気は、 2021年11月より十六銀行本店ビル、2023年10月より十六銀行電算センター・事務センタービル、2024年6月より十六銀行岐阜県87店舗等に導入しています。また、環境価値の地産地消を目的に、岐阜県内の水力発電により創出されたFIT非化石証書3,000MWhを購入し、1,263t-CO2をオフセットしました。
引き続き、CO2フリー電気の導入拡大や環境配慮型店舗の導入、営業車両のHV・EV化等を検討のうえ、GHG排出量削減に向けて取り組みます。

投融資先のGHG排出量 (Scope3カテゴリ15) の削減目標と実績 気候

金融機関のGHG排出量においては、投融資を通じた間接的な排出 (Scope3 カテゴリ15)が大きな割合を占めるため、これらの算定、モニタリング、削減への取組みを進めることが重要となります。当社グループでは、PCAFスタンダードの算定手法を活用し、保有有価証券(国内上場株式・社債)および事業性融資(国内法人向け融資)を対象として投融資先のGHG排出量を算定しています。引き続き算定対象範囲の拡大や算定精度の向上に努めるとともに、算定結果を活用して投融資先の脱炭素に向けた取組みを支援し、投融資先のGHG排出量について2050年度までにカーボンニュートラルを達成することを目指します。
なお、PCAF算定基準の変更や投融資先のGHG排出量の開示拡大等により、今後の算定結果が大きく変化する可能性があります。

Scope3カテゴリ15の目標 2050年度までにカーボンニュートラル(ネットゼロ)を達成する。

投融資先のGHG排出量(Scope3カテゴリ15)(速報値)

(単位:t-CO2)
セクター 上場株式・社債 事業性融資 合計
Scope1+2 Scope3 Scope1+2 Scope3 Scope1+2 Scope3
石油・ガス 997 92,423 376,609 147,157 377,606 239,580
電力・ユーティリティ 292,188 297,003 182,301 377,876 474,489 674,879
空運 0 0 3,916 1,007 3,916 1,007
海運 3,749 1,129 819 982 4,568 2,111
陸運 2,746 5,553 292,364 138,328 295,110 143,881
自動車 4,619 314,061 31,470 256,821 36,089 570,882
金属・鉱業 8,205 12,551 252,565 176,430 260,770 188,981
化学 9,459 21,058 463,133 425,571 472,592 446,629
建築資材・資本財 10,188 442,609 257,534 1,729,493 267,722 2,172,102
不動産管理・開発 119 1,582 4,478 49,661 4,597 51,243
飲料・食品 6,814 17,070 890,238 385,495 897,052 402,565
農業 77 1,428 46,274 29,354 46,351 30,782
製紙・林業 221 1,288 53,061 95,707 53,282 96,995
その他 37,843 227,067 714,692 2,248,033 752,535 2,475,100
合計 377,225 1,434,822 3,569,454 6,061,915 3,946,679 7,496,737
データクオリティスコア 1.7 1.8 3.4 3.5
カバー率 90.3% 98.5%
対象アセット 上場株式・社債、事業性融資(国内法人向け融資)  ※財務データ不足先は除く
算定方法 GHG排出量=Σ(各投融資先の排出量×当社グループの投融資の寄与度)
  • 各投融資先の排出量は企業開示データ等を使用。データが取得できない場合は、PCAFデータベースから引用した売上高あたりの先進国・セクター別の排出係数を用いて推計
  • 寄与度=当社グループの投融資残高/投融資先の資金調達総額
基準年度 2024年度
  • 投融資残高 : 2025年3月末時点の残高
  • 投融資先の財務データ : 2025年3月末時点で当社グループが保有する最新の決算期データ

カーボンニュートラルに向けたロードマップ 気候

当社グループおよび投融資先のGHG排出量削減に向けて各種施策を推進し、カーボンニュートラルを達成します。

サステナブルファイナンス実行額目標 気候 自然

当社グループでは、お客さまの環境課題の解決に向けた取組みを本業を通じて支援し、脱炭素社会やネイチャーポジティブの実現に貢献するため、サステナブルファイナンスの実行額について以下の目標を設定しています。

2030年度目標額
(9年間累積)
2024年度までの実行額 進捗率
サステナブルファイナンス実行額 2兆円 6,851億円 34.2%
うち環境分野 8,000億円 2,547億円 31.8%
サステナブルファイナンス実行額:グラフ
  • サステナブルファイナンス : 持続可能な社会の実現に資するSDGs ・ ESG への取組みに向けた投融資等
  • 環境分野 : 環境への負荷を軽減する取組みに向けた投融資等